丹誠するとは「自分という人間をまごころを込めて仕上げていく」ということ。
人は自分という人間を一生かけて磨いていく必要があるそうです。
分かっていたつもりではいますが、生涯現役でいるためには学び続けることが必要ということですね…
アメリカの詩人ホイットマンの詩が印象的でした。
女あり
二人ゆく
若きはうるわし
老いたるはなおうるわし
どういう意味かというと
「若い女性は美しいが、老いたる女性はさらに美しい」
という意味だそうです。
若い女性が美しいのはあたりまえであり、漢字を当てるなら「麗」の字。
「麗」は、生まれついての美しさを意味します。
一方で、老いていくうるわしさには「美」の漢字が当たるそうです。
「美」は、丹誠によって得られる美しさのことを指すとのこと。
これは女性だけでなく、もちろん男性にも言えることですよね。
生まれつきカッコいい人もいれば、年を重ねることでだんだんとカッコよくなっていくオジサマもいる。
こう考えると年を重ねることがたのしみになる気がします!
これまでは年を取ることにマイナスのイメージしかありませんでしたから…笑
わたしも年を重ねることで男性の方の「美」を得ていきたいものです…
若いときには若い花があって、
老いたときには、真実の花がある。
今の状態に満足することなく学び続け、このブログも書き続けて行きたいと思います。
外尾悦郎氏と梶田隆章氏の対談
対談テーマ:一念が道をつくる
梶田隆章氏(かじたたかあき)
東京大学宇宙線研究所所長
ニュートリノ振動の現象を捉えて、ニュートリノに質量があることを初めて証明した。2015年にノーベル物理学賞を受賞。
外尾悦郎氏(そとおえつろう)
サグラダ・ファミリア 芸術工房監督
着工から136年経ったがいまなお建設が続くサグラダ・ファミリア教会の彫刻に40年間携わっている。2000年に完成させた「生誕の門」が世界遺産に登録される。
上で紹介したお二人の対談を、今月もたのしく拝読させていただきました!
わたしは理系なので、どちらかというと物理学をやられている梶田氏に興味がありましたが、外尾氏のお話も大変興味深かったです。
わたしにはスペインまで独りでいって「仕事させてください」と1ヶ月粘るなんてできるか分かりません笑
35年間ずっと試用期間
サグラダ・ファミリアで外尾氏が仕事を始める際、試験をして合格する必要がありました。
その合格を貰えたのが1978年、25歳のとき。
そこからずっと試験が続いたそうです。
現在は芸術工房監督という肩書がありますが、それまでは35年間ずっと試用期間だったとか…
そんな長い試用期間あります?笑
試用期間だからこそ、一度でも仕事を失敗すれば次の仕事はもらえない。
目の前の仕事に、一回一回が真剣勝負。
そうして仕事を積み上げっていったからこそ、40年に渡って第一線で活躍し続けることができている。
これこそ自己を丹誠した結果ではないでしょうか。
ガウディが見た方向を見る
サグラダ・ファミリアは設計図が残っていないため、ガウディの建築思想を想像するカタチで建造が進められています。
しかし、外尾氏はガウディを知ろうとすればするほど、分からなくなるという経験をしたそうです。
考えるほど分からなくなる経験ってありますよね。
そんなときをどうやって乗り越えたのか。
外尾氏は「ガウディが見た方向を見るようにした」とのこと。
そうすることによって「ガウディが最終的に求めていたもの」を感じ取れるようになった。
建築を通して人や社会を幸せにしようとしたというガウディの思いを認識できるようになったんですね。
誰にでも目標にしたい人がいる。
その人になろうとするのではなく、その人が見た方向を見る。
自分を磨き続けるためには必要な考えなのかなと思います。
常に実現できるときを探る
梶田氏の恩師に小柴昌俊先生という方がいます。
ニュートリノを捉えるためにカミオカンデを設計したのが小柴先生です。
その小柴先生が
「常に考えて、自分の考えが実現できるときを常に探っておくんだ」
ということを言われていたそうです。
というのも、小柴先生が実験装置としてカミオカンデを提案したとき、なんと20年前からその装置の案があったそうなんです!
なんという準備の良さでしょう…
これまでは実現のチャンスはなかったけど、アイデアは持ち続ける。
そして実現できるチャンスを探る。
この考え方も、自己を丹誠していくために必要ではないでしょうか。
さいごに
今月の特集テーマ「自己を丹誠する」を読み解いてみました。
総リード文にもありましたが、
「若い美しさ」と「老いた美しさ」がある
という話がわたしは印象的でした!
男の顔は履歴書だ…っていいますもんね。
女性だけでなく男性にも「老いたカッコよさ」があるのでしょう!
対談の最後に
「いつか大事なときがくるだろうというのは間違いで、常いまこの瞬間が全て」
という言葉が出ていました。
今この瞬間を真剣に取り組むからこそチャンスは訪れる。
長い人生で自己を丹誠していくために、わたしも今この瞬間を大切にしていきます。
それでは、また!