日用心法(にちようしんぽう)とは、安岡正篤氏が紹介している「よき人生」を生きるために必要な心の工夫や生活習慣のことです。
致知2025年8月号には、以下のように解説されています。
日用心法とは、日常生活を送る上でどういう心の工夫、生活習慣に心がけているか、ということである。その在りようが人生の質・充実度を決める要になるという意味で、どういう日用心法を持つかは大事なことである。よき人生を生きた人はよき日用心法を実践した人だ、ともいえる。
日用心法は『安岡正篤一日一言(致知出版社)』に詳細が掲載されています。本書からも一部引用して日用心法を解説します。

日用心法
安岡正篤は、次に記す15の項目を実行すれば、健康で充実した人生を歩むことができるとしています。これらの項目は、現代でも十分に通用する普遍的な智恵です。
『安岡正篤一日一言』の中で紹介されている日用心法は、以下の通りです。
- 第一、毎日の飲食を適正にやっているか。
- 第二、毎晩よく眠れるか。
- 第三、自分の心身に影響を与えているような悪習慣はないか。
- 第四、適当な運動をしているか。
- 第五、日常生活上の出来事に一喜一憂しやすくないか。
- 第六、精神的動揺があっても、仕事は平常どおり続け得るか。
- 第七、毎日の仕事に自分を打ち込んでいるか。
- 第八、自分は仕事にどれだけ有能か、自分は仕事に適するか。
- 第九、現在の仕事は自分の生涯の仕事とするに足りるか。
- 第十、仮に自分の仕事がどうしても自分に合わぬ、自分の生活が退屈であるとすれば、自分の満足は何によって得るか。
- 第十一、自分が絶えず追求する明確な問題を持っているか。
- 第十二、自分は人に対して親切か、誠実か。
- 第十三、自分は人格の向上に資するような教養に努めているか。
- 第十四、特に何か知識技術を修めているか。
- 第十五、自分は何か信仰・信念・哲学を持っているか。
安岡正篤とは

安岡正篤(1898−1983)は、東洋古典を軸に「人物学・帝王学」を説いた思想家・教育者。戦前から戦後にかけて政財界の「精神的指南役」として影響力を発揮した。
吉田茂・池田勇人・佐藤栄作・大平正芳などの施政方針演説の推敲を頼まれるなど、歴代首相の指南役も務めた人物。1945年8月、「終戦の詔勅」(玉音放送)草案の刪修、元号「平成」の考案に関与したことでも知られる。
まとめ
日用心法は、安岡正篤が提唱した15の実践項目を通じて、日常生活の質を向上させる智恵。
現代社会でも十分に活用できるこれらの教えは、心身の健康維持から人格形成まで、人生のあらゆる側面をカバーしています。
以下のようなカテゴリーで分類されます。
身体と生活習慣に関する項目 | 第1〜4項 |
精神的態度に関する項目 | 第5, 6項 |
仕事への取り組みに関する項目 | 第7〜10項 |
自己成長と人格形成に関する項目 | 第11〜15項 |
まずは自分にとって最も重要だと思う項目から実践を始めること。そして、徐々に習慣化していくことで、より充実した人生を送ることができるようになるのではないでしょうか。
